FOMCの利下げ・利上げ確率が分かるFedWatchとは?
市場の利下げ・利上げ予想はどうやって確認しているのか?
経済指標の発表や要人発言など、米国の政策金利に影響しそうなイベントがあった際、以下のように市場の利下げ・利上げ予想がニュースで流れることがあります。
トレーダーは12月のFRB利下げ予想を縮小、確率は90%から71%に低下
— 米金融ツイート和訳 (@bei_wayaku) October 29, 2025
この手のニュースで報じられている市場参加者(トレーダー)の利下げ・利上げ予想は何の情報を元にしているのでしょうか?
人によって情報源にしているものは違いますが、一般的に市場の利下げ・利上げ予想として広く使われているのは米CMEが提供しているFedWatchツールと呼ばれるものです。
FedWatchツールの概要
FedWatchツールはFF金利先物の価格から、市場が今後の政策金利の変動をどのように予想しているのかを計算して掲載してくれているサイトです。
FF金利というのは米国の政策金利です。その先物市場の価格から参加者の期待値を逆算することで、市場の利下げ・利上げ予想を算出しています。
「市場予想」と言っていますが、上記のように厳密には「FF金利先物市場の参加者の予想」で、市場全体の参加者の予想ではありません。ただし、FF金利先物の参加者は機関投資家や銀行などの大口のプレイヤーが主で、市場全体の金利予想とのズレが起きにくいので、便宜上「市場予想」として使っているみたいですね。
FedWatchツールの見方
FedWatchツールのサイトにアクセスすると以下のように次回のFOMCでの金利予想が棒グラフで表示されます。

左のメニューでTargetRateの下の「Probabilities」をクリックすると2年くらい先までの金利予想も見ることができます。

他にもいろいろとメニューがありますが、市場の金利予想を見たい場合は上記のページでほとんど確認することができます。
あとは、左メニューのDotPlotの下にある「Chart」をクリックすれば、直近のSEPで発表されたドットチャートを確認することもできます。

FedWatchの予想は当たるのか?
では、このFedWatchツールに掲載されている市場の金利予想は「当たるのか?」ですが、FOMC間近(数日前とか)ならほぼ当たります。
と言うのも、現在のパウエルFRBは市場との対話が非常に上手く、FRBの政策方針が適切に市場に織り込まれているので、FOMCの結果と市場予想でズレが生じにくい状況になってます。
市場のニュースを追っている人なら分かると思うのですが、市場が過度な利下げ・利上げ予想をしている場合、FRBメンバーの誰か(特にパウエル議長)が行き過ぎた市場の織り込みを抑制するようなメッセージを発信します。いわゆる要人発言としてニュースに流れるものですね。これによって間違った方向に進んでいる市場の予想を適切な方向に調整しているように見えます。
なので、FOMC間近ならほぼ結果と一致するのですが、その次の分からはまったく当てになりません。基本的に金融政策は経済データ(経済指標)の結果によって変動するので、今後発表される指標の結果によって予想も大きく変動するからです。
また、市場は過度に希望的観測をする傾向にあるので、特に1年先などの長期の予想はFRBの予測とのズレが出やすく、その都度、上述したようにFRBメンバーの発言によって修正されていくので、まったく当てになりません。
しかし、FedWatchの予想が当たらないことは特に問題ではありません。FedWatchの本当の用途は別にあるからです。
FOMCの結果を当てることが本当の用途ではない
FedWatchの予想を見てFOMCの結果を当てることには何の意味もありません。FedWatchの予想は市場参加者のほとんどが把握していますし、他の予測系のサービスでもほぼ同様の予測をしているでしょう。FOMCの結果が市場予想どおりになっても、既に市場はその結果を織り込んでいるので、大きな動きにはなりませんし、トレーディングの役には立ちません。
では、FedWatchの本当の用途は何なのでしょうか?それは「市場の織り込み具合」を把握することです。
FedWatchツールで市場がどのくらい利下げまたは利上げを織り込んでいるのか?(どのくらいポジションが偏っているのか?)を把握することで、FOMCの結果やニュースに対する市場へのインパクトを把握することできます。
例えば、市場が利下げを目いっぱい織り込んでいた場合(FedWatchで利下げ確率が高い状態)、ハト派的なニュースが出たとしても、既に織り込んでいる内容なので市場の反応は限定的です。しかし、タカ派のニュースが出た場合は、それまでの利下げ織り込みが後退するので、市場は大きな変動が起きやすくなります。
デイトレードやスキャルピングなどの短期トレーダーにとっては、こういった市場の期待の巻き戻しによる大きな価格変動は致命傷になりかねないので、市場の織り込み具合の把握は重要になるのではないかと思います。
また、FRBの政策方針に深い理解がある人なら、市場期待とFRBの方針にズレが生じていることを事前に察知することもできます。こういった場合、市場予想の方が間違っていて最終的にFRBの方針に修正されていくケースが多いので、事前に察知できれば有利なポジションを構築できる可能性もあります。
このように、市場の織り込み具合を把握することは自身のトレード成績を上げることに役立つ可能性があるので、情報源の一つとしてFedWatchツールを活用してみてはいかがでしょうか。

